海外のヴィーガンたちがまだ気づいていない(かもしれない)、日本発の優秀な植物性食材が、実は私たちのすぐ足元にあります。
それが、冷蔵庫の定番「油揚げ」です。
代替肉として開発されたわけではありませんが、結果として現代のプラントベースな食生活とも相性の良い、日本ならではの“大豆ミート的食材”と言えるかもしれません。
今回は、そんな油揚げがなぜ現代のプラントベースな食生活とも相性が良いのか、日本独自の「油揚げ文化」をのぞいてみましょう。
世界に誇る油揚げの魅力とは?実は繊細な大豆加工食品だった

お味噌汁の具やきつねうどんのイメージが強い油揚げですが、実は「お肉のような満足感」と「抜群の味の染み込みやすさ」を兼ね備えています。
油揚げは豆腐を揚げることで水分が抜けるため、同じ重量あたりではたんぱく質などの栄養が凝縮されます。少量でも満足感があり、現代のプラントベースな食生活とも相性の良い食材です。
海外で「Tofu」は知られていても「Abura-age」は未知の領域

海外でも豆腐(Tofu)はすっかりメジャーになりましたが、油揚げはまだ一部のアジアンマーケットでしか見かけない隠れた存在です。
欧米の普通のスーパー(Tesco、Sainsbury’s、Walmart、Whole Foodsなど)で見かける大豆製品は、水分を極限まで絞った「Firm Tofu(固い豆腐)」や「Extra Firm Tofu(超固い豆腐)」が主流です。
彼らにとって豆腐は「肉の代わりに香ばしく焼いたり炒めたりするもの」なので、日本の油揚げのように「薄く切って中を空洞にして揚げる」という繊細な加工品は、一般的な食文化にはないのです。
アジア系スーパーなら手に入るけれど高い…

アメリカなら「H Mart(韓国系)」や「Mitsuwa(日系)」、イギリスなら「Wenyuan」や「Tian Tian(中国系)」といったアジア系スーパーのチルド・冷凍コーナーに行けば、日本でおなじみの油揚げが手に入ります。
ただ、日本のように数十円とはいかず、輸送コストや関税がかかるため1パック300円〜500円(2〜3ポンド/ドル)ほどする高級品になります。
ヴィーガンが意外と悩む「いなり寿司の皮」

海外では、日本のカップうどん(赤いキツネやどん兵衛)が販売されていたり、SUSHIコーナーで稲荷寿司を見かけたりすることがあります。しかし、油揚げそのものを一般的なスーパーで見かける機会は、まだそれほど多くない印象です。
「あの甘くてジュワッとした四角いものは何だろう?」と思いながら食べている海外の人も、実はいるのかもしれません。
ただし、味付け油揚げ・いなり寿司の皮は、 「大豆の皮だからセーフ」と思いきや、市販品には鰹出汁(魚エキス)など動物性由来の原材料が使われていることもあり、原材料表示を確認してがっかりするケースも少なくありません。
日本料理ではなぜ油揚げが「具」になるのか?

「きつねうどん」ひとつとってみても、油揚げって日本人には空気みたいな存在だけれど、「豆腐を揚げて、それを甘辛く煮て、麺に乗せる文化」って、海外から見るとかなり不思議なんですよね。
ほかにも油揚げは、
など、驚くほど万能で用途が広い食材です。
油揚げは、単なるたんぱく源としてだけ親しまれているわけではありません。
私たちは油揚げを通して、実は「染み込んだ美味しい“だし”を食べている」のかもしれません。
豆腐を揚げることで生まれた無数の小さな空洞が、だしや醤油、みりんなどの旨味をたっぷり吸い込み、その味ごと楽しめる、日本料理ならではの食材になっているのです。
厚揚げ・きざみあげ・冷凍可能・ご当地油揚げ……バリエーションがレシピを無限化!

日本の油揚げ文化は、実は驚くほど種類が豊富です。ご当地油揚げまで含めると、数えきれないほど存在するのかもしれません。みなさんのお住まいの地域には、どんな油揚げがありますか?
植物性肉の代表格であるテンペやセイタン、ソイミートなども少しずつ知られるようになってきました。しかし日本には、豆腐、油揚げ、厚揚げ、おから、高野豆腐など、もともと大豆を活かした食文化が豊富に存在します。
そのため、新しいプラントベース食品が広がる土壌がありながらも、「すでに似た役割を担う食材が身近にある」と感じる人もいるのかもしれません。
次にスーパーへ行ったときは、ぜひお豆腐売り場の隣に並ぶ油揚げコーナーをのぞいてみてください。
こんなに優秀な食材が、今でも1パック100円前後で気軽に買えるというのは、実はかなり贅沢なことなのかもしれません。普段何気なく手に取っていた油揚げが、少し違って見えてくるかもしれませんね。


