英国テスコなど、欧米のスーパーのプラントベース食品コーナーに行くと、今でも当たり前のように並んでいる「テンペ」。
しかし、日本で一時期プチヴィーガンブームが巻き起こった際も、テンペはそれほど広く定着しませんでした。「ヘルシーだし、お肉の代わりになるなら流行りそうなのに、なぜ?」と思った方もいるかもしれません。
その理由は、意外なほどシンプルでした。
日本には、もともと優秀すぎる大豆食品があり、それらが異次元に美味しすぎたからです。
海外において、植物性タンパク質の「スター選手」といえばこのあたり。

- テンペ(インドネシア発祥の発酵大豆ブロック)
- セイタン(小麦グルテンで作るモドキ肉)
- フムス / ファラフェル(ひよこ豆のペーストや揚げ物)
これらは欧米のベジタリアンにとっては救世主のような存在です。しかし、これらを日本の食卓に持ってくると、私たちは無意識にこう思ってしまうのです。
「いや、それなら納豆でよくない?」
「厚揚げ焼いて生姜醤油で食べたほうが絶対うまいよね?」
「高野豆腐のポテンシャル、めちゃくちゃ高くね……?」
そう、日本はわざわざ新しい海外の代替肉を輸入しなくても、豆腐、納豆、高野豆腐、厚揚げ、がんもどきなど、数百年前から「プラントベースの超エリート集団」が揃っている、いわば大豆食品の超先進国だったのです。わざわざ少し癖のあるテンペを買いに走る必要が、そもそもありませんでした。
そもそも「テンペ」って何者? 日本の納豆とはどう違う?
日本の優秀な大豆チームに一歩及ばなかったテンペですが、実は知れば知るほど面白い、ポテンシャルの高い食材です。
一言でいうと、「インドネシア発祥の伝統的な発酵大豆ブロック」。
大豆に「テンペ菌」をつけて発酵させて作られており、お肉のようなぎっしりとした食べ応えが特徴です。
ここで気になるのが、「テンペ菌って、納豆菌の仲間でしょ? 納豆みたいにネバネバして臭うの?」という疑問。
安心してください。テンペ菌は、大豆の周りにキノコの糸(菌糸)のような組織を作って固める菌です。そのため、糸は引きませんし、納豆特有の強い匂いもありません。
クセがなくてホクホクとした栗やナッツのような風味なので、和食・洋食・中華、どんな料理にもビックリするほど馴染みます。すり潰してハンバーグにしたり、お肉の代わりに炒め物に使ったりと、マルチに活躍してくれるのが魅力です。
テンペの栄養価がスゴイ!大豆を超えるその実力

日本の大豆製品も優秀ですが、テンペの栄養バランスも負けていません。発酵しているため消化吸収が良く、お腹に優しいプロバイオティクス食品(腸内環境を整える有益な菌が含まれる食品)でもあります。
特に注目したいのは、以下の4つの栄養素です。
- たんぱく質(100gあたり約20g) お肉や魚と比べても全く遜色のないボリュームです。筋肉や健康な体づくりには欠かせません。
- 食物繊維(100gあたり約10g) なんと普通の大豆の約3倍! 腸内環境を整え、お腹をスッキリさせる強い味方です。
- ビタミンB群(B1、B2、B6、B12など) エネルギーの代謝を助け、疲労回復や神経系の働きをサポートしてくれます。
- 鉄分(100gあたり約1.2mg) 大豆の約1.5倍の鉄分を含んでいます。効率よく酸素を全身に運ぶために、鉄分を補いたい人にはうれしいポイントですね。
「お肉の代わり」としてだけでなく、純粋にサプリメント感覚で食卓に取り入れたくなる優秀さですよね。
テンペは『揚げる』が正解?海外シェフ直伝の最高の食べ方
テンペは焼く、炒める、煮るなど何でも使えますが、シェフでフードライターのララ・リー氏によると、最もおすすめの調理法は「油で揚げること」だそうです。
テンペを揚げることで、肉のような食感と旨味がグッと増幅され、さまざまな料理や食文化に合わせやすくなります。
外はカリッと、中はホクホク。この食感こそがテンペの真骨頂! というわけで、今すぐ試せる簡単なヴィーガンレシピを2つご紹介します。
レシピ1:テンペとゴロゴロ野菜の甘辛炒め(2人分)

テンペの旨味に、にんにく生姜の効いた甘辛ダレがしっかり絡む大満足のおかずです。
【材料】
- テンペ:1丁
- 玉ねぎ:1/2個
- ピーマン:1個
- 人参:1/2本
- にんにく、しょうが:各1片(みじん切り)
- ごま油:大さじ1
- 【合わせ調味料】酒・みりん・しょうゆ:各大さじ2、砂糖:小さじ1
【作り方】
- テンペは食べやすい大きさに、野菜はすべて乱切りにします。
- フライパンにごま油、にんにく、しょうがを入れて弱火で熱し、香りが立ったら野菜を加えて炒めます。
- 野菜に火が通ったらテンペを投入。合わせ調味料をまわし入れ、汁気が少し残るくらいまで強火で一気に煮詰めたら完成です!
おつまみにも最高!テンペのサクサク唐揚げ(2人分)

ララ・リー氏おすすめの「揚げる」レシピ。お肉派の人も驚くスナック感覚の唐揚げです。
【材料】
- テンペ:1丁(ひと口大に切る)
- 片栗粉、小麦粉:各大さじ2
- しょうゆ、酒:各小さじ1
- こしょう:少々
【作り方】
- ポリ袋などに切ったテンペ、しょうゆ、酒、こしょうを入れて軽く揉み込み、5分ほど置いて下味をつけます。
- 別の袋に片栗粉と小麦粉を混ぜ合わせ、下味をつけたテンペを入れて全体に粉をしっかりまぶします。
- 170℃の油でキツネ色になるまでカラッと揚げます。
しっかり油を切ってお皿に盛り付ければ完成! お弁当のおかずにはもちろん、ビールのおつまみにも最高ですよ。




