イギリス料理を調べていると、定期的に現れる食材があります。
それは……じゃがいも。
「イギリス人、また芋食べてる。」
と思ってしまうほど、イギリスの家庭料理にはじゃがいも料理がたくさんあります。
でも、スコットランドのじゃがいも料理を調べてみると、ただのマッシュポテトではありませんでした。
寒い土地で育まれた家庭料理には、その土地ならではの野菜や保存食の知恵が詰まっています。
今回は、スコットランドを代表するマッシュポテト料理「クラップショット(Clapshot)」と、まだ日本ではあまり知られていない「ランブルデサンプス(Rumbledethumps)」をご紹介します。
どちらも素朴な料理ですが、スコットランドの家庭の温かさを感じられる一皿です。
スコットランドのポテト料理は奥が深い

スコットランド料理というと、日本ではハギスなどが有名ですが、家庭料理ではじゃがいもがとても大切な存在でした。
冷涼な気候の中で育つじゃがいもは、日々の食卓を支える身近な食材。
そのため、スコットランドには地域ごとにさまざまなポテト料理があります。
シンプルにバターで味わうものから、野菜やチーズを加えてオーブンで焼くものまで、その種類は驚くほど豊富です。
どこか北イングランドやアイルランドの家庭料理にも通じる、素朴で温かな雰囲気があります。
クラップショット(Clapshot)とは?

クラップショットは、スコットランド北部、特にオークニー諸島周辺で親しまれている伝統的な料理です。
名前だけ聞くと少し不思議ですが、料理自体はとてもシンプル。
基本的には、
- じゃがいも(tatties)
- スウェーデンカブ(swede / rutabaga)
- バター
- ブラックペッパー
- チャイブ
などを合わせて、マッシュした料理です。
じゃがいものほくほくした食感に、スウェーデンカブの自然な甘みが加わります。
日本の感覚では「じゃがいも+カブ?」と少し意外に感じますが、寒い地域で育つ根菜同士の組み合わせは相性がよく、優しい味わいになります。
日本で作る場合のスウェーデンカブ代用アイデア

本場で使われるスウェーデンカブ(ルタバガ)は、日本の一般的なスーパーでは少し手に入りにくい野菜です。
その場合は、
- 黄色いカブ
- 普通のカブ+少量の大根
- カブ+少量のにんじん
などで代用すると、根菜らしい甘みを楽しめます。
完全に同じ味ではありませんが、「じゃがいもと根菜を合わせる」というクラップショットの魅力は十分味わえます。
簡単!クラップショットのレシピ

材料(2〜3人分)
- じゃがいも……300g
- スウェーデンカブ(または代用品)……150g
- バター……20g
- チャイブまたは青ねぎ……少々
- ブラックペッパー……適量
- 塩……適量
作り方
- じゃがいもとスウェーデンカブを柔らかくなるまで茹でる。
- 水気を切り、温かいうちにつぶす。
- バター、塩、ブラックペッパーを加えて混ぜる。
- 仕上げにチャイブを散らす。
シンプルだからこそ、素材の味を楽しめる料理です。
ランブルデサンプス(Rumbledethumps)とは?

ランブルデサンプスは、スコットランドのボーダーズ地方などで知られる家庭料理です。
名前の響きがかわいらしいこの料理は、簡単に言えば、
「スコットランド版シェパーズパイの中身だけを楽しむような料理」
とも表現できます。
ただし、クラップショットとは違い、こちらは根菜のマッシュ料理ではありません。
基本的な材料は、
- マッシュポテト
- キャベツ(またはケール)
- 玉ねぎ
- バター
- チーズ
など。
混ぜ合わせたものをオーブンで焼き、表面を香ばしく仕上げます。
家庭ごとに違うランブルデサンプス

ランブルデサンプスを調べていると、驚くほど多くのアレンジレシピが見つかります。
サワークリームを加えるもの。
まるで日本のお正月のお餅や、夏のそうめんのアレンジ料理を探すような感覚です。
「余ったじゃがいもをどうおいしく食べるか」という家庭の工夫が、世代を超えて受け継がれている料理なのかもしれません。
本格!ランブルデサンプスのレシピ

材料(2〜3人分)
- じゃがいも……400g
- キャベツ……150g
- 玉ねぎ……1/2個
- バター……30g
- チェダーチーズ……50g
- 塩……適量
- ブラックペッパー……適量
作り方
- じゃがいもを茹でてマッシュポテトを作る。
- キャベツと玉ねぎをバターで炒める。
- マッシュポテトと野菜を混ぜる。
- 耐熱皿に入れ、チーズをのせる。
- オーブンで表面が香ばしくなるまで焼く。
寒い日に暖炉のそばで食べたくなるような、素朴で満足感のある料理です。
スコットランドのじゃがいも料理に感じるもの

クラップショットもランブルデサンプスも、豪華な宮廷料理ではありません。
けれど、厳しい気候の中で育った食材を、どう美味しく食べるか。
そんな家庭の知恵が詰まっています。
イギリス料理を調べていると「またじゃがいも」と思う瞬間があります。
でも、その「また」が面白いのです。
地域が変われば、同じじゃがいもでも全く違う物語になる。
スコットランドのマッシュポテト料理は、そんな北の土地の暮らしを感じさせてくれる料理でした。



