アイルランドと聞くと、緑の大地や妖精の伝説を思い浮かべる人が多いかもしれません。でも実は、「パンとバターの国」としての顔もあるんです。朝のキッチンから漂う焼きたてのパンの香り、温かい紅茶と一緒に味わうシンプルな朝ごはん──それは忙しい日々の中で、静かな幸せを思い出させてくれるような時間。
今回は、そんなアイルランドの素朴な朝食とティータイム文化について、旅する気分でご紹介します。
🍞 アイルランドは「パンとバターの国」?

素材を大切にする食文化
アイルランドの食卓には、見た目の派手さよりも“素材のままのおいしさ”を大切にする文化が根付いています。日常的に食べるパンもそのひとつ。
小麦やバター、塩、重曹など、身近な素材を使い、手間をかけすぎずに仕上げるパンは、どこか懐かしくて安心する味です。
見栄えよりも「家庭の味」に価値を置くアイルランドの暮らしは、ナチュラル志向の女性たちにとって、どこか共鳴するものがあるのではないでしょうか。
発酵バターとブラウンブレッドの存在感
アイルランドのバターは、濃厚でコクがあり、ほんのり甘みを感じるのが特徴。特に「ケリーゴールド(Kerrygold)」は、草を食べて育った牛のミルクから作られる発酵バターとして有名で、世界中にファンがいるほどです。
そんな発酵バターをたっぷり塗る相手として欠かせないのが、ブラウンブレッド。全粒粉を使った香ばしいパンで、しっとりとした食感と、素朴な味わいが特徴。何気ない朝に、この組み合わせがあるだけで、豊かな気持ちになれます。
昔ながらの食卓の風景
アイルランドでは今でも、パンを焼く香りが家中に広がる朝を大切にしている家庭が少なくありません。
パンは買うものというより「つくるもの」、バターは冷蔵庫ではなくテーブルの上に常備。紅茶とともに、トーストに塗ったバターがじゅわっと染み込むその瞬間を楽しむ——そんな日常が、朝の食卓に流れています。
シンプルだけど愛おしい、そんな暮らしのリズムが、アイルランドの「パンとバターの国」としての魅力を物語っています。
🍽 朝食で定番のアイリッシュ・ブレッドたち
ソーダブレッド|酵母ではなく重曹で膨らます素朴パン

アイルランド独自のパンといえば、まず名前があがるのが「ソーダブレッド」。酵母の代わりに重曹(ベーキングソーダ)を使ってふくらませるため、発酵時間が不要で、気軽に焼けるのが魅力です。
クラストはカリッと、中はふんわりもちっとした食感で、ほんのり甘さを感じるバージョンも。バターミルクとの相性が良く、チーズやスープと一緒にいただくのが定番です。
ブラウンブレッド|全粒粉ベースの香ばしさ

栄養価が高く、どっしりとした食べごたえのある「ブラウンブレッド」は、アイルランドの朝に欠かせない主役のひとつ。全粒粉を使っているため、素朴でナッツのような香りが感じられ、バターやハチミツとの相性も抜群です。
家庭ごとにレシピが少しずつ異なり、「うちの味」があるのも愛される理由。薄くスライスして、トーストして食べるのが定番スタイルです。
ボクスティ|じゃがいも入りパンケーキ

「ボクスティ(Boxty)」は、パンというよりはパンケーキに近い一品。すりおろした生のじゃがいもとマッシュポテト、粉などを混ぜて焼いたもので、外はカリッと中はもっちり。朝食としても、軽食やおやつとしても親しまれています。
バターやサワークリームを添えて、シンプルに食べるのが主流。じゃがいもが主役のアイルランドらしい、家庭の味といえるでしょう。
パンと一緒に楽しむスプレッドやチーズ、ジャムなど

朝の食卓には、パンだけでなく、それを引き立てるスプレッド類も彩りを添えます。発酵バターはもちろん、自家製ジャム、チェダーチーズや地元のハーブ入りチーズなど、シンプルなパンに少しの「おいしい手間」をかけて楽しむのがアイルランド流。
甘い・しょっぱいを交互に味わいながら、紅茶を一口。そんなリズムが、アイルランドの朝の時間をゆるやかに包み込みます。
☕ 紅茶とともに過ごす朝の癒し時間

アイルランド人は実は“紅茶大国”の住人
アイルランドといえばギネスやウイスキーを思い浮かべがちですが、実は一人あたりの紅茶消費量が世界でもトップクラス。朝の食卓には必ず紅茶があり、家族や友人との会話も、まずは「一杯のお茶」からはじまります。
濃いめに淹れた紅茶にたっぷりのミルクを注ぐ、これがアイルランド式ミルクティーの定番。ポットで淹れることも多く、朝食とともに、ティーポットごとテーブルに出すのが一般的なスタイルです。
イギリスとどう違う?アイルランドの紅茶文化
アイルランドとイギリスの紅茶文化は似ているようで、実はちょっとした違いがあります。
- 紅茶の濃さ:アイルランドではやや濃いめに淹れるのが好まれ、ミルクとのバランスもミルク多めが主流。イギリスよりコクのある「どっしり紅茶」が多い印象。
- ブランドの違い:イギリスではPG TipsやTwiningsが主流ですが、アイルランドでは「Barry’s Tea」や「Lyons Tea」といった、地元ブランドの人気が根強いです。
- お茶と会話の関係性:イギリスではティータイムにスコーンやケーキを添える「儀式的」な習慣が根強いのに対し、アイルランドではより日常的で、ちょっと立ち話をするような親しみやすさが残っています。
こうした違いは、紅茶を“リラックスのためのツール”として自然に取り入れているアイルランドの暮らしぶりを表しているのかもしれません。
ミルクティーがつなぐ、やさしい朝の時間
パンにバターを塗り、温かいミルクティーを一口。湯気の立つマグを手にして、静かな朝の時間を楽しむ——アイルランドでは、そんな穏やかなひとときをとても大切にしています。
決して特別ではないけれど、「今日という一日を、心地よく始める」ための小さな習慣。
バターの香り、パンのぬくもり、そして紅茶のやさしい苦味とミルクの甘さが、日常に静かな喜びをもたらしてくれます。
「癒し」や「心の余白」を大切にしたいとき、アイルランドの紅茶のある朝を、そっと取り入れてみたくなる。そんな気持ちにさせてくれる文化です。
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