使い捨てない暮らしが当たり前の国
「傷んだらすぐ買い替える」のが当たり前になってしまった今の日本の暮らし。大量生産・大量消費に慣れた私たちは、家具も服も「古くなる=捨てる時」と考えがちです。
けれど、イギリスではそれとはまったく異なる価値観が根づいています。
壊れたからといって捨てるのではなく、直して使い続ける。たとえ古びても、それは“思い出の跡”としてむしろ大切にされます。
家具や道具は、単なるモノではなく、暮らしの記憶を刻むパートナーとして、世代を超えて受け継がれていくのです。
そんな英国の家具文化と“一生モノ”との向き合い方に焦点を当て、私たちの暮らしに取り入れるヒントを探ります。
第1章:イギリスの家具文化とは?

イギリスでは、家具は「家を彩るアイテム」ではなく、「家族の物語を刻む資産」として存在しています。
子どものころに祖父母の家で見た古いサイドボードが、大人になって自分の家にやってくる。そんなふうに、家具が親から子へと自然に引き継がれていくのは、特別なことではありません。新品よりも、歴史ある家具に価値を見出す文化が根づいているのです。
アンティークやヴィンテージ家具に対する価値観
イギリスでアンティーク家具が好まれる理由のひとつは、職人技が生きた本物の家具だからです。
マホガニーやオーク、ウォールナットといった硬く丈夫な木材が用いられ、手作業で丁寧に作られた家具は、100年以上の時を経てもなお、美しく、実用的。修復を前提とした構造になっており、**壊れても捨てるのではなく「直して使う」**という選択が自然とできるのです。
また、家具が持つ装飾や経年変化にも価値を見出します。ピカピカの新品ではなく、少し色褪せたり、角が丸くなったりした風合いこそ「味わい」として愛されるのが、イギリスらしい感性です。
家具=資産、歴史、家族の記憶
イギリスでは、家と同じように家具も「資産」として受け継がれていきます。それは単なる金銭的価値ではなく、**家族の歴史や記憶が詰まった“語り継がれる存在”**としての意味合いも含まれています。
祖父がかつて読書していたチェア、両親が一緒に選んだダイニングテーブル、家族で何度も囲んだ食卓のシーン──そうした思い出が、家具とともに暮らしの中に残り続けるのです。
第2章:家具を「育てる」という価値観

イギリスの家庭では、家具は“使い捨てるもの”ではなく、“育てていく存在”として扱われます。
たとえば、長年使ってきたダイニングチェアにできた小さなキズやシミ。日本なら「汚れたから新しく買おう」と考えるかもしれませんが、イギリスではそのキズが家族の暮らしの一部として大切にされます。
修理しながら使い続ける
座面がへたってきたら、布を張り替える。木製の脚がぐらついてきたら、ネジを締め直す。傷が目立ってきたら、オイルで手入れをして艶を取り戻す。
そんな風にして、家具に手をかけることで、より愛着が深まっていく。イギリスでは、“直して使う”ことは面倒ではなく、むしろ暮らしの楽しみのひとつなのです。
「新品の美しさ」より、「時を重ねた美しさ」
イギリス人にとっての“美しさ”とは、決して新品のような完璧さではありません。
むしろ、経年変化で色味が変わり、手垢で艶が出て、ほんのり丸みを帯びてきた家具の表情こそが「味」として評価されます。
「パティナ(patina)」と呼ばれるこの風合いは、長く使い込まないと得られないもの。
そのため、多くのイギリス人は、新しい家具を買うときでも「時間を経て味わいが出るもの」を基準に選びます。これはまさに、家具を育てるという発想の表れです。
思い入れが「価値」になる
デザイン性やブランドではなく、「この家具をどんな風に使ってきたか」「どんな思い出があるか」といった個人のストーリーが価値になるのがイギリスの家具文化。
たとえ安価なものであっても、10年、20年とともに過ごしてきたものには、単なるモノ以上の価値が宿ります。
第3章:なぜ“買い替えない”のか?英国人の思考

家具を長く使い続ける文化は、ただの「習慣」ではありません。イギリス人のライフスタイルや価値観の中に深く根づいた、明確な“理由”があります。
ここでは、彼らがなぜ「買い替えない暮らし」を選ぶのか、その背景にある思考をひも解いていきます。
良いものを一度買って、ずっと使う
イギリスでは「安いものを何度も買い直す」のではなく、「良いものを一度だけ買い、長く使う」という考え方が基本です。
これは、ファッション、家電、キッチン道具など生活全般に共通して見られる傾向ですが、特に家具においては顕著です。
長く使える素材や構造に投資し、手をかけながら使い続けることで、結果的に経済的であると考える人が多くいます。
「高いけれど価値があるもの」を選ぶことは、“見栄”ではなく、“責任ある選択”なのです。
資源や環境への配慮が前提にある
さらに、イギリスでは「買い替えること」=「廃棄が発生する」という感覚が強くあります。
家具の多くは大型で処分にもコストや手間がかかるうえ、焼却・埋め立てによって環境負荷が高まります。そうした背景もあり、「まだ使えるものを捨てるのは無責任」という意識が社会全体に共有されているのです。
これはサステナブル先進国らしい視点でもあります。個人の選択が地球環境に直結していることを、多くの人が日常的に意識しているのです。
インテリアに“流行”を持ち込まない美意識
もうひとつ、イギリスの家具文化を支えるのが、「流行を追わない」スタイル美学です。
たとえば、「今は北欧風が流行っているから、全部買い換えよう」といった発想は、ほとんど見られません。むしろ、個人の美意識や暮らしの背景を反映するインテリアが尊重されます。
だからこそ、「他人からどう見られるか」よりも、「自分にとって意味があるかどうか」で家具を選び、長く大切に使い続けるのです。
スローインテリアという価値観
イギリスでは「Slow Life(スローライフ)」の一環として、**「Slow Interior(スローインテリア)」**という考え方も根づいています。
これは、時間をかけて少しずつ家具を揃え、使いながら育てていくという暮らし方。
完成された部屋を“買う”のではなく、自分らしい空間を“育てる”という発想です。
短期的な「見た目の整い」より、**長期的な「居心地のよさ」や「心の満足感」**が重視される──そこには、暮らしを丁寧に重ねていくイギリス人ならではの価値観が表れています。
第4章:日本で“一生モノ家具”を取り入れるには?

では、日本の暮らしの中で、イギリス的な「一生モノ家具」との付き合い方を実現するには、どのような工夫ができるのでしょうか?
ここでは、家具選びのポイントや実践的な考え方をご紹介します。
長く使える家具の選び方
素材・構造・メンテナンス性の3つは、一生モノ家具を選ぶうえで欠かせないポイントです。
- 無垢材(オーク、チェリー、ウォールナットなど)は、削ったりオイルで再生できるため長持ち
- ビス止めや組み直しができる構造のものは修理がしやすい
- 部品交換が可能なメーカー品や職人製作家具は、パーツが手に入りやすい
また、購入時に「修理対応してくれるブランドか」「将来的にリメイク可能か」といった視点で選ぶのも大切です。
■ 愛着が育つ家具は「完璧」でなくていい
ほんの小さなキズや使い込んだ風合いも、時間とともに「その人らしさ」へと変わっていきます。
一生モノの家具に大切なのは、最初から完成されていることよりも、「一緒に育てていける」と思える感覚です。
■ 家族で受け継ぐという視点も
英国では、祖父母の家具を引き継いで使うのはごく自然なこと。
そんなふうに、家具を“自分の代で終わらせない”という発想も、一生モノ家具選びの魅力のひとつです。
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