イタリアのクリスマス(ナターレ)は、他のヨーロッパ諸国とは一味違う、宗教的な伝統と地域色豊かな食文化が息づく特別な祝祭です。家族と囲む温かな食卓が中心となり、北部と南部では料理のスタイルも大きく異なります。特に、クリスマス・イブ(ヴィジリア)には肉を避け、魚介料理を振る舞うというカトリックの伝統が今も多くの家庭で守られています。
この記事では、イタリアのアドヴェントからクリスマス当日のごちそう、食事を通じた過ごし方までを地域ごとの違いも含めて丁寧にご紹介。スローフード文化が息づくイタリアのクリスマスを、旅するように体験してみましょう。
🎄 ナターレとアドヴェント|12月8日から始まる「待ち」の季節

イタリアのクリスマスシーズンは、12月8日の「聖母マリアの無原罪の御宿り(Immacolata Concezione)」から始まります。この日を境に、家庭や広場ではイルミネーションが灯り、教会や家庭に「プレゼーペ(Presepe)」と呼ばれるキリスト誕生の人形飾りが置かれます。
多くの家庭では、アドヴェントカレンダーでクリスマスまでの日々をカウントダウンしながら、家族の時間を大切にしていきます。
街角には甘く香ばしい焼き菓子や発酵菓子の露店が並び、食を通じて待ち遠しさを楽しむのがイタリア流。宗教的な背景に根ざしつつも、どこか素朴で人間味のあるあたたかな雰囲気が漂います。
🍽️ イタリアのクリスマス料理|地域で異なるナターレのごちそう
🐟 12月24日|La Vigilia(ヴィジリア)の夜は、魚介づくしで断肉を祝う

クリスマス・イブにあたる12月24日は、イタリアではカトリックの伝統に則り「肉を断つ日」とされています。
そのため、多くの家庭では魚介を中心とした豪華な料理で食卓を彩ります。
特に南イタリアでは、「七つの魚料理(Festa dei sette pesci)」を用意するという習慣も見られます。これは、7という聖なる数字にちなんだもので、信仰と食の融合を象徴する行事でもあります。
主な料理の例:
- バッカラ(塩鱈)のトマト煮込み
- フリット・ミスト(小魚やイカのフライ盛り合わせ)
- イカのリゾットやムール貝の白ワイン蒸し
- カニのパスタやエビのグリルなど
この夜は、重くなりすぎず、でも豪華で華やかな海の幸が主役。
夕方から食卓に集まり、夜遅くまで家族でゆったりと時間を過ごすのがイタリアの伝統です。
🥩 12月25日|ナターレ当日には、地域色豊かな肉料理とパスタが登場

クリスマス当日は、打って変わって肉料理や濃厚なパスタが主役になります。
しかもその内容は、北と南、地方によって大きく異なるのがイタリアの魅力。
🇮🇹 北イタリアの例(ミラノ、ピエモンテなど)
- ラザニア・ビアンカ(ホワイトソースのラザニア)
- トリュフ入りの手打ちパスタ(タヤリン)
- リゾット・アッラ・ミラネーゼ(サフラン風味)
- ローストビーフや仔牛の煮込み(ヴィテッロ・トンナート)
バターやクリームをふんだんに使った、リッチで滑らかな味わいが特徴です。
🇮🇹 南イタリアの例(ナポリ、シチリアなど)
- トマトソースのラザニアやマカロニのオーブン焼き
- メランザーネ・アッラ・パルミジャーナ(ナスのグラタン)
- 羊肉や豚肉の煮込み料理
- セアッパ(スパイス入りクッキー)とともにワインで乾杯
オリーブオイルとトマトが中心の、太陽の味を感じる力強い家庭料理が多く並びます。
🍰 クリスマスのドルチェ|パネットーネとトッローネが主役

イタリアのクリスマススイーツといえば、まず名前が挙がるのが「パネットーネ(Panettone)」。
ミラノ発祥の発酵菓子パンで、ドライフルーツやレーズンを練り込んだふわふわの生地が特徴です。ほんのりとした甘さが、コーヒーや甘口の発泡ワイン「スプマンテ(Spumante)」とよく合い、食後のデザートや朝食としても親しまれています。
他にも、地域ごとにバリエーションがあります。
- パンドーロ(Pandoro):ヴェローナ発祥。バター風味で粉糖をふった星型のケーキ
- トッローネ(Torrone):ナッツ入りのヌガー。硬いタイプと柔らかいタイプがあり、長期保存が可能
- ストゥルーデルやゼッペレ:アルプス地方やナポリ周辺で見られる焼き菓子
これらのスイーツは、家族で過ごす時間に欠かせない「甘い絆」とも言える存在。
1月6日のエピファニー(公現祭)まで、食卓に度々登場します。
🎁 プレゼントと家族の過ごし方|「Befana(ベファーナ)」まで祝祭は続く

イタリアの家庭では、クリスマス当日だけでなく、1月6日の「ベファーナ」までがナターレシーズンとされています。
この期間中は、家族で過ごす時間を何よりも大切にするのがイタリア流です。
🎄 プレゼント交換はいつ?
プレゼント交換のタイミングは家庭によって異なりますが、以下のようなパターンが多いです:
- 12月25日朝:サンタクロースからの贈り物として子どもたちにプレゼント
- 12月24日深夜:ミサの後に家族で交換(特に宗教色の強い家庭)
- 1月6日(エピファニー):魔女ベファーナが靴下にお菓子やプレゼントを入れてくれる、という言い伝えも
子どもたちは、「サンタクロース(バッボ・ナターレ)」と「ベファーナ」の両方からプレゼントをもらえることもあり、長く続く祝祭にワクワクが止まりません。
🗓️ 年末年始も盛りだくさん|12月26日・大晦日・1月6日までの祝祭

イタリアではクリスマス当日だけでなく、前後の日々もとても重要な祝日として過ごされます。
🔹 12月26日|聖ステファノの日(Santo Stefano)
キリスト教最初の殉教者である聖ステファノを記念する日で、イタリアでは正式な祝日。
多くの家庭では、前日の残り物を温めながら、再び家族や親戚と食卓を囲む時間となっています。
🎇 12月31日|大晦日(Capodanno)
年末には「ザンポーネ(Zampone)」や「コテキーノ(Cotechino)」という豚のソーセージ料理と、レンズ豆(Lenticchie)が定番。
これは「お金や豊かさを呼び込む縁起物」とされ、年越しの食卓に欠かせません。
⭐ 1月6日|エピファニー(Befana)
クリスマスシーズンを締めくくる祝日が、東方の三博士がイエスを訪ねたとされる「公現祭(エピファニー)」。
この日に登場するのが、**煙突からやってくる魔女「ベファーナ」**です。
- 良い子にはお菓子を
- 悪い子には炭(carbone)を
というユーモラスな伝説があり、子どもたちは靴下を吊るしてベファーナの訪問を待ちます。
1月6日を過ぎると、ようやくクリスマスの飾りを片付け、日常が戻ってきます。
🧭 まとめ|イタリアのクリスマスは「家庭」と「地域文化」の宝箱
イタリアのクリスマスは、家族の絆・宗教的伝統・そして地方料理の多様性が見事に融合した、まさに文化の宝箱のような祝祭です。
- アドヴェントから始まり、ベファーナまで続く長い祝祭期間
- イブの魚介、当日の肉料理、地方ごとの特色がにじむ食卓
- スイーツやプレゼントにもストーリーが詰まっている
年に一度のこの時期に、イタリアの食文化と暮らし方を覗いてみることで、時間をゆったり味わうライフスタイルのヒントが見つかるかもしれません。
✈️ 旅するように味わう。海外のグルメをお取り寄せ!

「ヨーロッパなど海外ブランドのお菓子やコーヒー・紅茶、調味料はどこで手に入るの?」
そんな方には、世界のグルメを取り扱う 【JTBショッピング】 がおすすめです。
世界中の味覚をおうちで気軽に楽しんでみませんか?
【JTBショッピング】 なら、海外ブランドの食材や国内外のお土産など、本場のグルメを日本から簡単にお取り寄せできます。
ちょっと贅沢な「おうち旅気分」を、今すぐ体験してみましょう!