ヨーロッパの中でも、ドイツのクリスマスはスパイスの香りと保存食文化に彩られた、特別な静けさと温もりに包まれています。
日本のようにイブの一晩だけを祝うのではなく、アドベント(待降節)から年末年始まで続く「長い祝祭の季節」。そこには「時間をかけて祝う」豊かな文化と、冬を越すための知恵が詰まっています。
この記事では、ドイツならではの食文化と過ごし方に焦点を当て、以下のような疑問にお答えします。
- ドイツのクリスマスって、どんな料理が並ぶの?
- なぜスパイスや保存食が多いの?
- アドベントって何?何をするの?
🎄 アドベントから始まる「待つ」文化

ドイツのクリスマスシーズンは、アドベント(Advent)=待降節から始まります。
これはキリスト教に由来する4週間の準備期間で、「クリスマスを待つ時間そのものを楽しむ」という考え方が根づいています。
🕯 アドベントリースとアドベントカレンダー
- アドベントリース(Adventskranz)
モミの枝で作られたリースに4本のロウソクを立て、毎週日曜日ごとに1本ずつ灯していきます。
これは“時間の流れ”を目に見える形で祝う習慣で、子どもから大人まで広く愛されています。 - アドベントカレンダー(Adventskalender)
12月1日から24日まで、日替わりで扉を開けていくカレンダー。
中にはチョコレートや小さなギフトが入っており、特に子どもたちのワクワク感を高める要素となっています。最近では、**紅茶やオーガニック調味料入りの“大人向けアドベントカレンダー”**も人気。
🎪 クリスマスマーケットもアドベントの風物詩
この時期、ドイツ各地で開かれるのがクリスマスマーケット(Weihnachtsmarkt)。
木製の屋台が立ち並び、グリューワインの香りが漂う中、シュトレンやレープクーヘン、燻製ソーセージなどの冬の名物が並びます。
都市ごとに規模や装飾の特色があり、特にニュルンベルクやドレスデンのマーケットは世界的にも有名です。
アドベントは「心の準備」だけでなく、“冬の楽しみ”を少しずつ取り入れる文化的な知恵でもあるのです。
🍰 伝統菓子|保存食×スパイスの知恵

寒さの厳しいドイツでは、クリスマスの時期になると、保存性の高いスパイス菓子が家庭に並びます。
それらは単なる甘いおやつではなく、中世から受け継がれてきた“冬を乗り越えるための知恵”を今に伝えるものでもあります。
🥮 シュトレン(Stollen)|熟成するクリスマス菓子の王様
ドイツのクリスマスに欠かせないのが、シュトレンと呼ばれる発酵菓子。
ドライフルーツ、ナッツ、ラム酒、マジパンなどが練り込まれ、焼き上げたあとに粉砂糖で包まれる白い姿は、布にくるまれた幼子イエスを象徴しているとも言われます。
このシュトレンは、焼いたその日よりも1〜2週間後のほうが味がなじみ、しっとりと美味しくなるのが特徴。
日を追うごとに少しずつスライスして食べる家庭も多く、まさに「時間を味わう」お菓子です。
特に有名なのは、ドレスナー・シュトレン(Dresdner Stollen)。
EUの原産地名称保護制度にも登録されており、伝統と品質が保証されています。
🍪 レープクーヘン&プフェルクーヘン|スパイス香るクラシック
- レープクーヘン(Lebkuchen)
シナモン、クローブ、ナツメグ、ジンジャーなどを使った香り高い焼き菓子。蜂蜜やヘーゼルナッツの生地で作られ、日持ちがよく、ギフトにもぴったり。ハート型や星型にしてアイシングで飾ることも多く、見た目にも楽しい一品です。 - プフェルクーヘン(Pfefferkuchen)
こちらはより「ピリッとしたスパイス」が効いたタイプで、名前にある「Pfeffer(ペッパー)」は元々スパイス全般を意味する古語。
焼いた後に寝かせておくことで、味が深まり、冬の長期保存にも向いています。
🥩 クリスマスの主菜は地域ごとに多様

ドイツのクリスマス料理は、地域によって大きく異なります。
南部はカトリック文化が色濃く、豪華な肉料理が好まれる一方、北部では質素で実用的な料理が多く見られます。
共通しているのは、「冬に保存しやすく、体を温め、家族でゆっくり楽しめるメニュー」が中心という点です。
🦢 ローストグース(ガチョウの丸焼き)
Weihnachtsgans|ヴァイナハツガンス
南ドイツやバイエルン地方では、ガチョウの丸焼きがクリスマスの象徴。
丸ごとのガチョウにりんご、玉ねぎ、マジョラム、タイムなどのハーブ類を詰め、じっくりオーブンで焼き上げる伝統料理です。
- 外側はパリッと香ばしく、内側はジューシーで柔らかい。
- ガチョウの脂は「液体の金」とも呼ばれ、保存用にろ過して再利用する家庭も多い。
- ソースには赤ワインやジュニパーベリーを使い、甘酸っぱさと濃厚さが絶妙なバランス。
▶ 添えられることが多いサイド:
🐖 ローストポークと燻製ソーセージ
ドイツ北部や旧プロイセン地方では、豚肉のロースト(Schweinebraten)やソーセージ料理が中心になります。
特に以下のような品が定番:
- Bratwurst(ブラートヴルスト):焼きソーセージ
- Knackwurst(クナックヴルスト):太めでパリッとした燻製ソーセージ
- Kasseler(カッセラー):塩漬け燻製のポークロイン
これらは、塩味が強く保存性が高いため、冬の保存食文化とも直結しています。
🥔 じゃがいも団子&赤キャベツは全土共通の人気サイド
- Kartoffelklöße(じゃがいも団子):外はもちっと、中はふわっと。肉汁やソースとの相性抜群。
- Rotkohl(赤キャベツの甘酢煮):スパイスや果物(りんごやベリー)と煮込むことで、肉の脂を中和する名脇役。
こうした付け合わせは「重たすぎず、胃にやさしく、保存もできる」ことが評価され、ドイツ中で愛されています。
☕ ドリンク|心も体も温まる冬の定番

冬の寒さが厳しいドイツでは、温かくて香り豊かなドリンク文化も豊かです。
クリスマスシーズンになると、以下のような飲み物が各家庭やマーケットで楽しまれます。
🍷 グリューワイン(Glühwein)
赤ワインにシナモン、クローブ、スターアニス、柑橘類などを加えて温めたスパイシーなホットワイン。
アルコールが飛ぶまで煮詰めないことで、ほんのり酔える温もりを楽しめます。
🔥 ファイアーツァンゲンボウレ(Feuerzangenbowle)
- グリューワインの上にザラメ糖の塊を置き、ラム酒をかけて炎で溶かすという、豪快で華やかなドリンク。
- 映画『Feuerzangenbowle』の影響もあり、年末の風物詩として親しまれています。
- 家庭用のセットも販売されており、「これが始まると年の瀬だな」と感じるドイツ人も多い。
🕯️ 家族で囲む静かな夜|12月24〜26日の過ごし方

ドイツのクリスマスは家族の時間を大切にする文化が色濃く表れます。
派手なパーティーよりも、静かに、温かく、内省的なひとときが主流です。
🎁 12月24日|Heiligabend(聖夜)
- 日中は最終の買い出しや飾り付けを済ませ、夕方からは教会の礼拝に参加する家庭が多い。
- 子どもたちは「クリストキント(Christkind)」または「ヴァイナハツマン(Weihnachtsmann)」がプレゼントを届けに来ると信じており、ツリーの下にギフトが置かれるのはこの夜。
- 夕食は、ソーセージとポテトサラダなどの軽食が多い地域もあれば、すでに豪華な肉料理を楽しむ家庭もあり、地域差が顕著。
🍽️ 12月25日・26日|クリスマス第1・第2祝日
- 25日は家族で集まり、ガチョウのローストやシュトレンなどのごちそうをゆっくり味わう日。
- 26日は親戚や友人を招き合う「訪問とおもてなし」の日。各家庭を渡り歩いてのんびり過ごすことが多い。
- いずれも祝日でお店も閉まり、外の喧騒を離れて「内なる時間」に浸るスタイルが主流。
「急がず、盛りすぎず、静かに丁寧に」。
ドイツのクリスマスは、そんな冬のスローライフの知恵が詰まった祝祭です。
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