アイルランドの冬は、グレーがかった空と冷たい風が続く厳しい季節。そんな中で心を温めてくれるのが、家族で囲むクリスマスの食卓です。
アイルランドのクリスマスは、宗教的な厳かさと家庭的なぬくもりが交差する一大イベント。イギリスと似ているようで微妙に異なる料理や風習が息づいており、とくに朝食とディナーのこだわりは見逃せません。
この記事では、「Full Irish」スタイルのクリスマス朝食から、ターキーやハムが主役の伝統的ディナーまで、アイルランドならではのクリスマスの味わいをたっぷりご紹介します。
🇮🇪 アイルランドのクリスマス料理文化|温かな食卓に宿る伝統と団らん伝統のクリスマス朝食|“The Full Irish”

アイルランドのクリスマスは、朝からごちそうで始まります。定番は「フル・アイリッシュ(The Full Irish)」と呼ばれる伝統的な朝食スタイル。特別な日には、より豪華なバージョンが登場します。
代表的なメニュー:
- ソーセージとベーコン: ジューシーなポークソーセージと厚切りのラッシュャーベーコン
- ブラックプディング&ホワイトプディング: 血液や穀物を使った伝統的なソーセージ。栄養価も高い
- 目玉焼き or スクランブルエッグ: ベーコンとの相性抜群
- グリルトマトやマッシュルーム: 焼き野菜で彩りをプラス
- トーストやソーダブレッド: アイルランドの食卓に欠かせないパン
- 紅茶(Barry’sやLyonsなど): ミルクティーでほっと一息
この朝食で体をしっかり温めてから、プレゼント交換や教会ミサへと向かうのが伝統的な流れです。
伝統のクリスマスディナー|ターキー、ハム、野菜、ポテト

夜のメインイベントは、なんといっても豪華なクリスマスディナー。家族全員がテーブルを囲み、ターキーの丸焼きをはじめとした多彩な料理が並びます。
定番ディッシュとその特徴:
- ローストターキー: セージとオニオンのスタッフィング(詰め物)入りが定番。ジューシーな肉汁とグレイビーで
- ハニーローストハム: クローブ(丁子)やハチミツを使った甘辛仕上げ
- トリュフビーフ: 近年人気が高まるごちそうメニュー。高級感を演出
- ポテト料理のバリエ: ローストポテト、マッシュポテト、グラタン風“ポテト・ドーフィノワーズ”など複数が一度に登場
- グレイズドキャロット、パースニップ、芽キャベツ: 根菜類と一緒にじっくりローストされるのが特徴
野菜も主役級の存在感をもち、肉類とのバランスを考えた滋味あふれる一皿がアイルランド流。食後には、伝統のクリスマスプディングやミンスパイ、そして温かなアイリッシュコーヒーで締めくくります。
スイーツとデザートの盛り合わせ|豊かな甘味の文化

アイルランドのクリスマスには、家庭で代々受け継がれてきた伝統的スイーツがテーブルを彩ります。ディナーの後には、さまざまなデザートが並ぶ「盛り合わせ」スタイルも一般的です。
- クリスマスケーキ(Christmas Cake)
フルーツやナッツがぎっしり詰まった濃厚なケーキ。マジパンとアイシングで美しくデコレーションされるのが特徴です。 - クリスマスプディング(Christmas Pudding)
ラムやブランデーを効かせた蒸しケーキ。食前に温め、**火をつけて提供する「フランベ演出」**も特別感たっぷり。 - シュリー・トライフル(Sherry Trifle)
スポンジ、カスタード、ベリー、ホイップクリームが層になった冷たいデザート。甘口シェリー酒をしみこませるのが伝統的。 - ミンスパイ(Mince Pie)
ドライフルーツとスパイスを使った詰め物(ミンスミート)を入れた小さなパイ。ティータイムにもディナー後にも合う万能スイーツ。
どの家庭でも「おばあちゃん直伝の味」が登場することが多く、“思い出の味”として語り継がれる存在です。
ドリンクとスナック文化|アイリッシュな楽しみ方

クリスマスの夜は、温かいドリンクとお菓子でくつろぐのが定番。パブ文化をルーツに持つアイルランドならではの大人向けホットドリンクも人気です。
- アイリッシュコーヒー
ウイスキー+コーヒー+生クリーム。冷えた夜にぴったりの一杯。 - ホットウイスキー / ホットポート
ウイスキーまたはポートワインをお湯とレモンで割り、クローブを浮かべたスパイシーな冬の定番。 - Cadbury’s Roses(キャドバリー・ローゼズ)
家族で分け合う定番チョコレートアソート。缶や箱ごとテーブルに出して、映画タイムに楽しむ家庭も多いです。
アイルランドのクリスマスの過ごし方|家族中心の一日

アイルランドのクリスマスは、「静けさと団らん」を大切にする一方で、「にぎわいと交流」も楽しむ、独自のリズムがあります。12月24日から25日は、ほとんどの商業施設や飲食店が休業し、家族とともにゆっくりと過ごす日。一方で、食後や翌日にはパブ文化や伝統行事が華を添えるのもアイルランドらしさです。
一般的な流れ:
12月24日(クリスマス・イヴ)
午後には職場や学校が早めに終わり、多くの人が実家や家族のもとへと帰ります。
夜は教会でのミッドナイト・ミサ(Midnight Mass)に参加する家庭もあり、その後は家で軽食やホットドリンクを楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごします。
12月25日(クリスマス当日)
朝食(フルアイリッシュ)からディナー、スイーツタイムまで、とにかく食事中心で1日が進むのが特徴。
その後は、家で映画を見たり、ゲームをしたり、ギフトを開けたりと穏やかなひとときが続きます。
🎄 夜〜:パブでの「動」の交流
夕方以降はパブで友人や親戚と乾杯、というのもアイルランドらしい文化。
クリスマス当日にパブが開く地域もあり、“地元に戻った友達との再会”の場になることもあります。
⛪ St. Stephen’s Day(12月26日)
キリスト教由来の祝日で、12月26日「St. Stephen’s Day(聖ステファノの日)」には、伝統的なチャリティイベント「Wren Boys(レン・ボーイズ)」の行列を見かけることも。この日は“ボクシング・デー”として、クリスマスの余韻を楽しむ穏やかな一日です。
アイルランドのクリスマスは、家族と過ごす「静」の時間と、地域とのつながりを感じる「動」のひとときが美しく共存しています。食事を楽しみ、伝統を守りながらも現代的な要素も取り入れたアイルランド流のChristmasは、どこかほっとするあたたかさに満ちています。
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